ルールーが未来へ帰ってから1年半。はな先輩たちは高等部へ進み、わたしは中等部の2年になった。 「えみるちゃ〜ん!」 「どうしたのです?ことり?」 「えみるちゃん、お誕生日おめでとう!」 「ありがとうなのです」 「そういえば、お姉ちゃんが淋しがってたよ。『えみるがちっともうちに来てくれない! めちょっく!』って」 「そんなことを言っているのですか? まぁはな先輩らしいといえばそれまでなのです」 (SE:♪ピ〜ロロロピッピピ〜) 「……えっ!?」 懐かしい音が携帯から鳴った。しかし、それは鳴るはずのない音色だ。 「……メール? なんで……この音が!?」 なぜなら、この音で指定した最愛の親友は……もう『この時代にはいない』のだから。 「どうして…………」 わたしは、おそるおそるメールを開いた。 差出人は……ルールー。 送信日は……2046年7月15日。 そして本文は…… 『ここで待っていてください。』 そして1枚の写真が添付してあった。 「……これは? …………!」 忘れるはずがない。今は何もないけれど、写真にも特にないけれど、これは紛れもなくビューティーハリーがあった場所。 「えみるちゃん?」 「ゴメンことり! 行くところができたのです!」 「ちょっとえみるちゃん!?」 わたしは走り出した。ルールーがこの時代に戻ってくることはないと解ってはいるけど、あの場所で『待っていてください』と書かれていた以上は。 ……ポツ……ポツ…………ザーー………… 雨が降ってきても構わずに走った。これは洗濯送りだな…… 「はぁ…はぁ…はぁ……」 息も絶え絶えになった頃、約束の場所に着いた。 「はぁ…… はぁ…… はぁ…………」 辺りを見回すが……誰もいない。当たり前だ。ルールーは未来に帰ったのだから。 「ルールー…………ルールーーーっっ!!」 当然、返事はない。解ってる……解ってるけど…… 「ルールー…………」 涙があふれてきた。ルールーはここにいない。ただ、その事実がどうしても受け入れられない。 「ルールーーーっっ!!」 ……ざわっ!! 一陣の風が駆け抜けた。ビューティーハリーがあった木を大きく揺らす。 「…………え!? ……あ痛っ!」 不意に頭上から何かが落ちてきた。 「いったいなんなのです?」 落ちてきたのは小さな枝。 「まったく危ないったらありゃしないのです……!?」 拾い上げると、それにはハート型のコブが2つ付いていた。 ……わたしとルールーのミライクリスタルのような形をした。 (SE:♪ピ〜ロロロピッピピ〜) 携帯が再び鳴った。ルールーからだ。 わたしは急いでメールを開いた。 『顔を上げてください。』 わたしはハッとなって顔を上げた。 雨は上がり、虹が出ていた。 「来て……くれたのですね……」 視線の先には……ルールーのような形をした雲。 「ルールー……ありがとうなのです」 そのメールはこう結ばれていた。 『わたしは、ずっとえみるを見守っています』 〜fin.〜 |