(前置き) この妄想話は、プリパパさん( @Puri__Papa )の大人ララ絵 ( https://twitter.com/Puri__Papa/status/1268421016243453952 ) から着想を得て書きました。いつもありがとうございます。 (展開重めです) |
「さあ広がれ! 大いなる闇よ!」 へびつかい座のプリンセスが放った闇が…… 「イマジネーションを分け与えられし忌々しき者どもよ、宇宙とともに消えるがいい!」 ひかるを、みんなを、宇宙を、すべてを飲み込んでいく………… 「さあ、飲め! 宇宙を!」 「ひかるーーっ!」「ララーーっ!」 ふたりが伸ばしたその手が、まさに触れようとしたその瞬間………… 闇。 ……………………オヨ!? わたしを取り囲むのは……闇。 「宇宙は無に帰する。そして新しい我の宇宙が始まる!!」 へびつかい座のプリンセスの声が響く。 「……ひかる?」 さっきまで隣にいたはずのひかるが……いない。それどころか、誰の気配もない。 まるで何もない闇の宙(なか)にわたしだけが漂っているみたい…… 「ひかる…………ひかるーーーーーっっ!!」 …………………… …………………… 「ーーーーーっっ!!」 「……おはようございます、ララさま」 ……ここは…………わたしの部屋? 「またうなされていました。心拍数、呼吸数、ともに乱れています。 ……またいつもの『あの夢』」ですか? 「…………ルン」 わたしは静かにうなずいた。 ダークネスト……へびつかい座のプリンセスとの宇宙を懸けた闘いからすでに5年。みんなと別れてからのしばらくは、忙しい日々が続いていたこともあったせいかこんなことはなかったんだけど……いつ頃からだろうか? あの闘いのことを夢で見るようになったのは。 「……いま思い返すと、わたし、恐ろしいことやってたんだルン」 「後悔……してますか?」 「それはないルン。デブリの調査中にフワとプルンスに出会って、ノットレイダーに追われて地球に飛んだ。ひかる、えれな、まどか、みんなでプリキュアになって、それからユニも加わって」 「地球も宇宙も、いろいろなところを駆け巡りましたね」 「それからクラスのみんなにわたしが宇宙人だってバレちゃったこともあったルン。襲ってきたカッパードからみんなを守ろうと目の前で変身して……でもそれでみんなとほんとうの友達になれたルン」 「そして最後にはダークネストを止めて宇宙を救いましたね」 「どれもこれも、みんな大切な思い出ルン…………ねぇAI?」 「なんでしょうか、ララさま?」 「地球は……いまいつ頃ルン?」 「わたしの時計が確かなら……地球の暦で『2025年4月12日』」 「それって……」 「ひかるさまの20歳の誕生日です。地球人で言うところの『大人』になりました」 「そっかぁ…………ひかるの誕生日、地球では祝えなかったルン……会いたいルン……」 「ララさま……泣いておられますか?」 「オヨ!?」 自分でも気が付かないうちに、涙が流れていた。 「……あれ? どうしてルン? 涙が……止まらないルン……」 会いたい……ひかるに会いたい。ひかるに会いたい思いが涙とともに溢れてくる。 「ひかる……ひかる……ひかるひかるひかるひかる!」 止まらない……思いも涙も止まらない………… 「ひかるに会いたいルン! ひかるがいない世界なんて耐えられないルン! わたし……まだダークネストの闇の中で漂ってるような気分だルン!」 ひかる……助けて…………迎えに来て………… 「会いたいルン……ひかる…………地球は……遠すぎるルン…………」 ……あとどれだけこの夢にうなされなければいけないのだろう。わたしの心は……まだ闇に飲まれたまま。 〜fin.〜 |