地域司令「歌王子が17層目の解除に取り掛からないだと!? 何を考えてんだあの『指定互助会』どもは!」 評議会議長「どうだね、状況は?」 地「どうもこうも……って議長!? どうしてこんなところに?」 議長「いろいろと気になることがあってな」 地「気になるって……あの『匣』ですか?」 議長「もちろんだ。 ……こう直接見ると禍々しさを一層感じるな。 …どこまでも凶悪だな、自賛乙は」 地「同感です」 広報担当隊員「ちょっと議長〜! 勝手に歩き回らないでくださいよ!」 議長「いいではないか」 広「よくないですよ! 自賛乙軍の手の者が潜んでるかもしれませんし、それに現場の皆さんの迷惑もあるでしょ!」 地「構いませんよ。我々第7番地域司令部も、議長閣下には直接ご覧いただきたいとの意見ですから」 議長「……だそうだ」 広「なら構いませんが……」 地「……で、どうですか議長? 自賛乙軍を最も長く視続けてきた者としては」 議長「この『匣』の核には何があるのか……嫌な予感しかしないのは確かだな…………!?」 広「議長……今、なんかこう『ゾワッ』とした気配が………」 議長「君も感じたか……」 地「……え?……なんだって!?」 議長「どうした?」 地「『匣』のことで報告がありました。 ……歌王子がロストしました」 議長「やはりそうなのか……」 広「……やはり?」 議長「この『匣』……俺の想像通りなら…………」 地「…………」 議長「……11年前に旧・浜松町王国を焼き尽くした凶悪兵器……『自賛の種』だ」 広「自賛の……」 地「種……」 議長「そしてその在処は…………『匣』第17層……その中だ」 地「……その『自賛の種』とは?」 議長「……俺の見立てだということを前提に言う。 …おそらく人間の感情を吸って育ち、あるタイミングで破裂するものだろう」 地「『種』とは云うけど実態は『風船』に近いと」 議長「そんなところだ」 広「そういえば自賛乙は『早ければ秋には爆発する』って……」 議長「……状況によると解体速度が週あたり1層で『種』含めて18層……今年の残りが21週で……時間に余裕はないな……」 広「……議長?」 議長「……なぁ、今最も深いとこにいるのは誰だ?」 地「えーと……天ちゃんが12層を突破。次いで真綾さんが10層を抜いているようです」 議長「うーん……彼女たちに頑張ってもらうのが最善か……ありがとう。我々は本部に戻って『匣』の件を協議する。地域司令殿、まだまだ苦労かけることになるが…現場のほうは任せたぞ」 地「ははっ! お気遣いありがとうございます!」 議長「さぁ行くぞ。仕事は山積みだ」 広「はい!」 |