(緊急コラム)実録・『第3次浜松町の自賛乙戦争』
(10)〜終戦、そして未来へ〜



(注:9月1週時点での記述です。そのところご了承ください。)


解析担当隊員「司令! 造物研が中央に到着、DGSの沈静化を開始した模様です!」
司令「……やっと到着したか……ったく、2体出しとか変なコトやるからこうなるんだよ」
通信担当隊員「司令! 第5番地域司令から通信入ってますが」
「繋いでくれ。 ……やぁ地域司令。とりあえずは戦闘終結お疲れさん」
地域司令『ありがとうございます。このたびの勝利も、各隊の協力の賜物です。』
「最初はどうなることかと思ったよ。 ……お互い、いい部下を持ったな」
『同感です、先輩。 ……ところで、捕えたという『自満乙』の件ですが…………』
「どうせ『よく似せたアンドロイド』だった、とでも云うんだろ?」
『よくお判りで』
「まぁ奴らが本人そのまま前線に連れてくるわけ無いからな。 で、何かデータとかは抜き出せたか?」
『それがですね……“ワレワレハ コノママ オワルコトハナイ  ジガジサン・ジコマンゾクノタネハ オマエラノナカニモ ネムッテイル  ワレワレヲ タオシタコト ソレコソガ オマエラノ ジガジサン・ジコマンゾクダ” って言い残して自爆したんですよ』
「……だろうな」
『……我々にも自画自賛や自己満足の種ってあるんでしょうか?』
「……さぁな。 ただ、我々には我々の信念があってやってきた。価値観の違いをやれ自画自賛だやれ自己満足だと言われる筋合いはないわな」
『ですね。 ……では、私のほうはこれで』
「おう。 部下をしっかり労ってやれよ」
『先輩もね』

広報担当隊員「……そろそろ議長閣下の会見が始まるようですが」
「そうかもうそんな時間か。 画面出してくれ」
「はい」

評議会議長『えー、市民の皆さんにご報告があります。 本日、“浜松町帝国”と戦闘終結の合意が交わされました。 帝国軍は同盟領からの撤退をすでに完了し、こむちゃ世界に平穏が戻ったのです』

「始まったねぇ」
「始まったねぇ」
「やっと戦が終わるのか」
「ここまで長かったですね」
「長かったな」

議長『事実上、我々はこの戦争に勝利したのです。戦線で尽力いただいたすべての部隊、戦闘の指揮を執った各司令部の諸君、戦闘地域およびその周辺の住民の皆さん、この場を借りて篤く感謝を申し上げます。 4月に始まった自賛乙軍の侵攻、後を追うように現れた自満乙の部隊。そう、このこむちゃ世界は未曾有の事態に陥りました。しかし、我々は負けなかった。各地から駆けつけた部隊の奮闘の結果、自賛乙、そして自満乙の撃退に結びついたのです』

「うんうん。彼らの協力が無かったらこの世界はとんでもない事になってたよ」

議長『斯くして、このこむちゃ世界の平穏は護られました。しかし、それだけでいいのでしょうか? このこむちゃ世界は皆さんが想像している以上に不安定です。つかの間の平穏を取り戻したことに満足してるだけでは、それはある意味自画自賛・自己満足で終わりかねません。こむちゃ世界の平穏を維持していくこと、それが肝心なのです。だからと言って、変化を畏れてもいけないのです。若者の成長の場所、そしてその機会も必要なのです。この度の戦争、若者の部隊も多数戦線に向かっていきました。しかし、彼らのうちのほとんどが思うような戦果をあげられず、早期の撤退を余儀なくされました。未来を担う若者たちの成長無くして、このこむちゃ世界の平和維持などありえません。若者たちがもっと活躍できる場所、そしてその整備が必要なのです』

「そこなんだよなぁー」
「うちらだってもう若者とは言えないし」
「新規隊員募集は定期的にかけてるんだけどね……」
「そこは我々も同じだな」

議長『ただ今日のところは、この手で勝ち取った平和を祝おうではありませんか! このこむちゃ世界の未来は明るいと信じて、わたしの挨拶とさせていただきます。 皆さんのご尽力やご協力に対し、改めて感謝申し上げます。本当にありがとう』


「…………こむちゃ世界の未来は明るいと信じて……か」
「どうなるんでしょうかねぇ、この先」
「ま、なるようにしかならないんじゃないか?」
「そうだな」
「それより……これから祝杯でもあげに行かないか?」
「いいですねぇ」
「もちろん、司令のおごりですよね?」
「それは前提条件ですよね」
「ったくしょうがないなぁ……お前たち、行くぞ!」
一同『はい!!』

〜 Fin 〜




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