司令「……とは言ってみたものの…………あの融通利かない評議会議員を相手にするのはなぁ…………議長はものが解る御方だからまだいいんだが………………」 評議会議長「…………難儀してるようだな、司令」 司「議長! ……それで、『奴等』の件なんですが…………」 議長「ああ、話は聞いているよ。 私の首を差し出せ、なんて如何にも奴等が言いそうなセリフじゃないか」 司「何を悠長なことを」 議長「まあまあ。 実はね、私は『このこむちゃ世界を対価にしてでも奴等を道連れにできるのなら、それでも構わない』と思っているのだよ」 司「…………なっ………………!!」 議長「私はね、こう思うのだよ。 この世界は『より高次元の存在』……我々と同じ“ヒト”の体をしているのか、それとも我々の想像もつかないような者なのか……それが創った『実験用の箱庭』なんじゃないかと」 司「…………………………」 議長「その『存在』とやらが『自賛乙の因子』をこの『箱庭』に垂らしたんだとしたら……気まぐれだか実験だか知らんけどね。 現に『第1次』よりももっと前……10年前の騒乱以前は奴等はこんな悪逆無道なことはしてなかっただろ?」 司「仰ることは御尤もですが…………」 議長「そう考えれば、奴等だってその『存在』とやらに操られている哀れな駒に過ぎないんじゃないか、ってね。だからといって、我々がこれを甘んじて受け入れるのか、という問いには『ノー』と言い放つべきだということは君も解るよね?」 司「…………もちろんです」 議長「そうだ。我々はその『存在』とやらの実験動物なんかではない。我々は我々だ。『奴等』にも、『存在』とやらにも一泡吹かせてやらんとな」 司「ですね」 広報担当隊員「…………司令! ……それに議長閣下!? ちょうどよかった。御二人に申し上げます! 自賛乙軍の侵攻を確認! 第5番地域に被害発生、損害は確認中! 御指示を!!」 議長「……だそうだ。 君たちが執るべき行動は……解るよね?」 司「はい、議長。 ……総員に防衛応戦命令を発令。現場判断にて自賛乙軍の撃退に奮闘せよ! それから第5番地域の被害状況確認を急がせろよ」 議長「うむ。私の職権でこれを承認する。評議会の連中は私が黙らせとくよ」 広「ははっ!」 司「私もすぐに本部に戻るからな」 広「はいっ!」 議長「…………なぁ司令、此度の戦い、君はどう思うかね?」 司「……正直に申し上げていいのかあれなんですが…………」 議長「構わんよ」 司「今回は…………我々には分が悪いかと。『三闘神』も機能停止し、周辺各国の疲弊や準備不足も甚だしく……正直、3年前のような共闘はさほど望めそうには…………」 議長「やっぱりそうか。 ……奴等も面倒な時期に事を起こしてくれたもんだな。でも……退く気は無いんだろ?」 司「ええ。『行動も起こさず諦めてただ流されるだけというのは、実質“現状を白紙承認”してるだけ』ですから」 議長「言ってくれるねぇ」 司「議長の受け売りですけどね」(SE:ピピピッ ピピピッ) 議長「…………おや司令? 何か鳴ってるようだぞ?」 司「……あらホントだ。 ……通信担当からか……なんか嫌な予感がするんだが…………どうした?」 通信担当隊員『司令! 司令!! ヌマヅから緊急入電です! 自賛乙軍からの攻撃を受け、浦の星女学院が被害を受けた模様!! 繰り返します! ヌマヅの浦の星女学院に自賛乙軍の攻撃があった模様!!!』 議長「…………やられた!!」 司「…………自賛乙の野郎どもめ!!! 我々だけではなくヌマヅにまで手を出してたとは!!」 議長「ヌマヅの『浦の星女学院』といえば、去年の評議会大賞で最優秀賞を獲ったとこだろ? 自賛乙軍の連中もえげつないことしてくるなぁ…………」 司「いくら脅威たりうる存在だからって…………やりすぎでしょこれは?」 議長「奴等も先手取るのに必死なんだろうよ。3年前の戦役では主導権を握りきれず、結果的に各地からの援軍にのされたんだからな」 司「大丈夫なんですかね? ヌマヅのあの娘たちは…………」 議長「彼女たちもこんなことでへこたれるタマじゃないだろう。 …………タマは付いてないがな」 司「ブッ!! …………ゲホゲホッ…………議長……こんな時になんてコトを……」 議長「ハハハッ……硬くなりすぎなんだよ、司令。 まぁとにかく……だ。我々には我々のやるべきことがある、そうだろ?」 司「…………そうでしたね」 議長「とてつもなく厳しい戦いになるだろうが、心してかかってくれ。そして…………無茶だけは……するなよ」 司「了解です、議長。 では、失礼します」 議長「…………ああは言ってたけど……どうせあいつは暴走して最前線まで行ったりするんだろうな…………いくらなんでも私の影響受け過ぎだっつーのに」 |